フリージャーナリスト 森川天喜(あき)の取材記録

フリージャーナリスト 森川天喜の取材記録です

夏でも涼しい地下伽藍(がらん)「田谷の洞窟」

夏の暑い盛りは、旅行や観光はちょっと……と思いますが、夏でもヒンヤリ涼しい洞窟や鍾乳洞などはオススメです。

紹介するのは、大船駅から北西に1kmほどの横浜市栄区田谷町にある定泉寺境内の「田谷の洞窟」。下の写真が洞窟の入口です。

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古墳時代の横穴住居跡を鎌倉時代に修行僧たちが広げていったというこの洞窟は、江戸時代まで適宜拡張され、上下三段、延長1キロという壮大な規模の地下伽藍になっています。

入口でロウソクを受取り、洞窟に一歩足を踏み入れると、まずひんやりとした冷気に触れます。

洞窟内は所々に電球が吊るされており、全くの暗闇という訳ではなく、ロウソクにはむしろ仏様に捧げるお灯明の意味があるようです。ロウソクの灯を消さないようにゆっくりと進みます。

天井は、場所によってはとても低く頭を下げながら歩かなくてはなりません。また岩肌には、ところどころ水が染み出ています。

「行者道」と書かれた道標に従って進むと、ときどき広い部屋のような空間に出ます。

本尊の「一願弘法大師」が、ひときわ大きな部屋にまつられている他、各部屋には多くの彫刻が岩盤に彫り込まれています。

秩父三十四観音・西国三十三観音・坂東の各札所、四国八十八カ所霊場などの仏様のレリーフが彫られた部屋を次々に通過します。洞窟内を一周すれば総て巡ったのと同じ功徳が得られるということなのでしょう。

以前、訪れたときに、ある部屋に次のような素敵な言葉が彫られていました。今もあるか分かりませんが、心に刻みたい言葉なので、紹介したいと思います。

蓮はきたない泥沼に咲く
だけど汚れに染まらないで
美しい花びらを咲かせている
そんな美しい仏性を
みんながもっている
それを信じあおう
それをたがいにみつけあおう

洞窟の最後の方、金剛水がしたたり落ちる水辺に奥の院があり、さらにその奥には音無川が流れています。このあたりはあたかも映画『オペラ座の怪人』に出てくる、怪人ファントムが潜む地下迷宮のような雰囲気がありました。

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■定泉寺
住所:神奈川県横浜市栄区田谷町1501
アクセス:大船駅よりバスで15分「洞窟前」下車、すぐ
地図:NAVITIME